くせっけデザインのブログ

くせっけの人に幸あれ。

12年間地方公務員でいたことで培われたもの

地方公務員のイメージ

地方公務員という職業にどんなイメージをお持ちだろうか。

法令遵守。お堅い性格。楽な人たち。
逆に最近はメディアの影響でブラックな働き方をしている公務員も意外にいるという認識も広がってきた。

一般的に接する機会があるのは区役所の窓口で住民票の手続き(最近だと特にマイナンバー関連)などをする場合に限られると思う。一方で目立たないが税金の管理や上下水道や道路の保全、福祉や教育、環境維持など幅が広い。

淡々とミスなく粛々と。が普通の世界で

淡々とミスなく粛々と。こういった仕事が多いこと、こういった特性の人が地方公務員に多いことは間違いない。はじめは違うタイプだったけど環境に適応した人も少なくないと思う。

決まった仕事を淡々と進めることが苦手だった僕は、人とコミュニケーションを取る分野に自分の特性を見出し、地域コミュニティを活性化する仕事に希望して従事し続けた。

人と対話し、共感して街を盛り上げる。良くも悪くも多様な仕事を経験する市役所の中で一貫した仕事を経験し続けられたことは僕にとって大きな強みとなっている。

利他的でいられたことに気付く

地域コミュニティを盛り上げる仕事を通じて培われたことは、人の楽しさや豊かさに寄与する精神だ。地方公務員は(もちろんコスト意識は重要だが)利益より人の喜びを生むことに注力できる。

これには僕は一時無自覚だったが、仕事で関わった異業種の方々に指摘されてハッとした。ある時、「こういう仕事ができて市役所の方は羨ましいです。」と言われたのだ。

近年は民間企業が社会にポジティブな価値を生み出すケースが一般的になってきた。その中で人の喜びや豊かさに貢献する仕事に夢中になる方は多いのだが、最終的には自社の利益に還元しないといけないジレンマにぶつかることがあるという。だから前述のような発言に繋がったとのことだった。

言われた時は衝撃だった。
隣の芝生はもちろんあるが、僕はむしろ利益を出しつつ社会貢献も両立する民間企業に先見性を感じていたので、市役所の仕事を羨ましいと思う方がいるなんて考えもしなかったからだ。

今でこそ自分を理解するには違う世界の方との対話が近道だと気付いてきたが、当時は驚いた。それを聞いて以来、街と街に関わる自身の立場をより意識して、胸を張って仕事をできるようになった。自慢ではないがこの経験をできた公務員はなかなかいないと自負している。

幸福学の専門家前野隆司氏の言葉に共感する。

多様なつながりや利他性(他人のために貢献したい気持ち)が強い人ほど幸せを味わえる。

幸せの4因子より

更にはどう動こうが大して評価に結びつかない業界なので、逆に仕事の動機は「多くの方のためになること」「喜ばれること」が中心になった。志を共にできるメンバーと働いていた時は本当に幸せな経験だった。

体験が自身の価値に

このような体験を通じて、利害を意識しない利他的な精神が培われた。これはフリーランスになっても僕の価値だと思えている。

逆に言えばビジネス感覚が不足しているとも言えるので知識を増やしていかなければいけないが、自分の良さを打ち消さないように分けて考えることを意識しながら今後も行動していきたい。