くせっけデザインのブログ

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東京都主催の起業家育成プログラムに参加してよかった話。その1

先日の記事で無職になったらメンタルを維持することが大切だと書いた。そのために行ったことはいくつかあるが、心の底から良かったと言えるのは、ポジティブなコミュニティに飛び込んだことだ。僕は東京都主催の起業家育成プログラムに参加した。

 

先日、1ヶ月半に渡るプログラムを終えてみて感じているのは、数年後に振り返った時に「あのプログラムに参加したことがターニングポイントだったな。」と思う気がしているということだ。

皆さんは起業というものにどういうイメージをお持ちだろうか。鋼のメンタルを持つイケイケな人が人生を賭けて一か八かのギャンブルをする縁遠い世界。少なくとも僕はそういったイメージを持っていたし、元公務員の僕とは真逆に位置するとものと考えていた。それでも自分を奮い立たせて前に進むきっかけを作りたかったことと、組織で働く以外の選択を探ってみたかったこともあり、かなり緊張しながらエントリーした。

選考が通った旨連絡が入ると、事務局からの連絡やメンバー間でやりとりをするためのSlackルームが開かれた。各々自己紹介が始まると30名のメンバーが参加することがわかった。名だたる大企業の経歴を持つ方も複数含まれる中、何者でもないのが自分だけだと感じ更に緊張してきた。

初日、普段一切用事のない丸の内に降り立ち開始時刻の1時間前に到着した。迷った時のことを考えて早めに出発したのもあるが、緊張しがちな僕は早めに到着することで場に心を慣れさせることや、場の空気を自分で作ることができると思ったからだ。初めて行く場所であれば尚更有効だとこれまでの経験で学んでいた。

準備中だったものの主催者の方は嫌な顔をせず会場に入れてくれた。そこでスタッフの方と話をしたり、早めに来た参加者と会話し始めた頃には不安がワクワクに変わった。

参加者がほぼ揃い、開始時間が近づいたタイミングで講師の方が一言投げかけた。「始まるまでに、どんどん他の参加者と話してくださいね。」隠しきれないエネルギーが篭った口調に、このプログラムは一方通行の座学ではなく参加者を突き動かすものかもしれないと察知した。

実際そうだった。
初日が終わる頃には相当なコミュニケーション量にヘトヘトになったのだが、とても面白かった。まず参加者の30名がとても多様だということ。10代の学生から還暦越えの方まで、世代もバックボーンも全く異なっていた。営業、マーケティング、週末には農業をやっているITエンジニア、研究者、フリーライターコンサルタントラジオDJ、料理家、飲食のストアマネージャーなどなど。そして公務員を辞めた僕。

人はなにかと比べがちで、他者よりも劣っていないかを気にしてしまう。そこに名だたる大企業の方もいるから更にその想いは強くなる。しかしそれは嬉しいことに杞憂だった。

多様なメンバーが揃うともはや「有能・無能」という軸は関係なく、誰しもが「自分が持っていない経験知を持っている人同士」という状態になる。年齢や立場を越え、上下ではなく左右の関係になれるのだと知った。僕が市役所で経験したまちづくりの仕事の話も他の参加者には興味深く受け止められ、逆に他の参加者の話はとにかく興味深いものだった。

この経験はめちゃくちゃよかった。考えれば当たり前なのだが、誰しも違った人生を歩んでいるので自分の知識・経験に誰かが価値を感じてくれることがあるということを体感できた。僕は前職で幅広い世代の方と関わって自分の数倍スケールの大きいことをしている年下の方も見てきたし、そもそも昔から上下関係が嫌いということもあって、この環境は居心地がよかった。

続きます。