お仕事で関わっている会社のすぐ近くにこぢんまりした居酒屋さんがあり、リーズナブルなランチを提供してくれている。
お肉をメインとしたランチで、お安いのにボリュームがあるのでお腹が空いた時はよく利用している。
オフィス街でもなく、まさに下町の住宅街というエリアであるということと、本来は居酒屋さんということもあり、ランチの時間は近所のサラリーマンと平日のお昼からお酒を飲んでいるおじさまで半々といった感じだ。
このお店に行くと、僕はほろ酔い気分の楽しそうなおじいさまによ〜く絡まれる。
昨日は午前中の作業で身体が冷えたので薄手のコートを着ながら食事をしていたのだが、「そこのコートの先輩」という謎の声かけをされ、振り向くとアルコールを嗜んだニコニコしたおじいさまが僕を見つめていた。
(この世代の方は人を「先輩」「先生」「大統領」と呼びがちだ笑)
人によっては嫌な気分になりそうなこんなシチュエーション、僕は結構好きだったりする。昨日もそこから10分ほど食事をしながら(本当に)中身の無い会話を楽しんだ。
おじいさま「先輩(僕)、米津歌いそうだな」
僕「よく米津知ってますね。昨日知ったんですか?笑」
などなど言葉でちょっかいを出し合って笑う。
最後は陽気な笑顔で「またね」と言われ、先に店を出た僕は笑顔で外に出た。
なぜこういったシチュエーションが楽しめるかというと、おじいさまも誰かれ構わず声をかけている訳ではないと思うからだ。
僕と店員さんとの会話の様子や僕の姿を見て、「こいつならいい反応してくれるんじゃないか?」と思ったから声をかけてくれているのだと思っている。
(本当はどうかわからないけど笑)
僕はリアクションが大きく、表情に出るタイプだ。それは1人のときも割とそう。
前日も森美術館から夕方の富士山を見ていたらおばあさまに「綺麗に見えるわねぇ」と話しかけられ、些細な会話をした。きっと僕が無意識に富士山をニコニコしながら見ていたのかもしれない。
周囲の人に知らず知らずに安心感を与えていたり、ドアをオープンしている印象を持ってもらえているとこはとてもポジティブに捉えている。何を考えているかわからなかったり、取っ付きにくいと思われるよりは嬉しいことだ。
居酒屋でのランチに話を戻す。
僕に声をかけてきたおじいさまは40代くらいの息子さんと二人でお酒を飲んでいた。飄々としたおじいさまとは対照的に年金暮らしの父親を心配している息子さん。
おじいさまが僕に話しかけるたびに「やめなよ」とツッコミを入れる。その二人のギャップについ笑いが込み上げてきてしまった。
僕も、自分の父親が他のお客さんに声をかけ始めたら止めるだろうなぁと笑
息子さんの真面目な話題をかいくぐるように僕に話しかけるおじいさま。おじいさまなりに、場を和ませたかった意図も見えてユニークな気持ちになった。美味しいランチに付加価値が乗ったできごとだった。
おじいさまの「またね」の後に息子さんの「すみませんでした・・・」が付いてきた。
ふふ、実は楽しんでましたよと心で返事をする僕。
偶発的なおしゃべり大歓迎。いっときのコミュニケーションでも人は明るくなれると思ってるから。
こんなもじゃもじゃ頭で若者ぶっている僕でも歳の離れた人から絡まれる率が高いことを僕は誇りに思う。