くせっけデザインのブログ

くせっけの人に幸あれ。

図書館スタッフの方とお話ししたら仕組みがかなり面白かった話。

ある街の図書館に仕事で写真を撮りに行った。

開館時間中は撮影禁止なので、朝早く開館前の時間にアポを取ってお邪魔した。

 

図書館スタッフの方にアドリブでモデルをお願いしたりしつつ撮影を進めたのだが、あまりこのような機会がないらしく、物珍しさもあってかとても歓迎のムードで迎えてくれた。

 

何よりスタッフの方がみんな明るい。

今回対応してくれた僕と同世代くらいの女性スタッフの方が、

「写真撮るようですよ〜!写りたい人〜!?」

と呼びかけると、

「きゃーヤダ〜!」

「〇〇さん呼んできなよ!」

「そうしようそうしよう!」

といった声があちこちから返ってくる。

 

その雰囲気にとても和やかな気持ちになった。

図書館は開館時間中は静かに本を楽しむ場なので、普段このような状況を目にすることはできない。また、静かな環境で働いている方々は静かな性格の方が多いのではないか。そんな安易な思い込みが大きく外れて愉快な気持ちになった。働いている人が楽しそうな職場は、そこに一時でも関わる人さえも幸せにしてしまうと思っている。今日、実際なった。

 

 

本。BOOK。

そしてそれが集まる図書館が「知の宝庫」だという事実に気付くまで僕はかなり時間がかかった。本をしっかり読むようになったのは去年あたりから、30歳を越えてからだったのだ。それまではどうも意識が散漫してしまい最初の数ページを読んだだけで他の楽しみに興味が移ってしまっていた。

 

近頃は本から得られる喜びを知ったことや大学に通い始めたこともあり一週間に一冊くらいは読んでいる。読書家と呼ばれる方々からは鼻で笑われてしまうが、遅れてきたブームなのでしょうがない。

 

このように今更「図書館ってすげー!」とピュアに叫んでいる僕はその裏の仕組みが気になっていた。特に近年、自治体ごとに開始時期の差はあるものの、24時間365スマホタブレットなどで電子書籍を借りて読める「電子図書館」サービスも始まっていることに興味津々だ。

 

(参考)板橋区電子図書館

https://web.d-library.jp/itabashi/g0101/top/

今回お邪魔した図書館とは異なります。

 

「何でこんなサービスが実現したの!?」と結構疑問だった。僕が住んでいる自治体でも20236月からサービスが開始するらしいが、あなたの街ではどうだろうか?

 

興味のまま質問し続けたら、すぐに終わった撮影時間より長くなってしまった。(それでもにこやかに対応していただきありがとうございました。本当に嬉しかったです。)

 

 

以下、質問。

 

【Q】本は毎日のように出版されるが、どの本を図書館に入れるという判断はどうやっているのか?

【A】うちの自治体には図書館が7ヶ所あり、スタッフが定期的に集まって会議で選定している。本の内容を推測して、地域性なども考慮している。

 

【Q】図書館は出版社からどのように本を買うのか。不特定多数に貸し出すことをふまえ市場価格より割高で買うのか?

【A】図書館用に卸しをする業者さんがいる。図書館は大量購入が見込めるので割安で販売してくれる。

 

【Q】流行りの本は書店より幾分遅れて図書館に並んでいる気がするが、書店の売上に配慮して遅らせているのか?

【A】むしろヒット作は市場に出たらすぐに売り切れてしまうので、図書館用に早めに確保している。ただし購入から本棚に並ぶまでに手続きがいるのでタイムラグは出る。

 

【Q】どのように話題になるとヒット作になるのか。

【A】数年前までは芥川賞など歴史ある賞の受賞作品がヒット作となっていたが、近年では本屋大賞の受賞作品に人気が集中している。

 

【Q】人気の本はどうやってわかるのか。

【A】web上で本を予約できるので、その予約数でわかる。人気作だと一年以上待つものもある。本当に読みたい人は書店で買うと思うので、「遅くてもいいから読んでみたい」という人が予約している様子。話題作だと予約のキャンセルも一定ある。

 

【Q】電子図書館はとても便利だが、なぜこのような仕組みができたのか。

【A】うちの自治体は人口に対して図書館少ないのも理由の一つだが、なかなか図書館に足を運べない方にもサービスを届けようという機運がある。また、電子図書館サービスは「他の自治体より早く導入しよう」という競争の動きも多少ある。

 

【Q】なぜ電子書籍なのに同時貸出数に制限があるのか?

【A】電子書籍自治体が購入する際、同時貸出数に制限のかかったライセンスを購入している。これは書店への配慮もあると思う。同時貸出数は本(ライセンス)ごとに異なるが、利用者へのわかりやすさを考慮して統一して貸し出している。

 

・・・

 

多くの自治体には図書館が数ヶ所設置されているが、大抵の場合一ヶ所が「中央図書館」と言われるハブ機能を有しており、仕組みの中枢を担っている。今日伺ったのはその自治体における中央図書館だったので、とても興味深い仕組みの話を伺うことができた。

 

ますます図書館が好きになってしまった。

最後にジョークで「働いてみませんか?」と言われたが、「(結構おもしろそう・・・)」と思った自分がいた。